遺族ケア外来(※令和2年4月1日より開設 保険適用)
大切な人を亡くされた方、そうしたご遺族を支えたいと思う周囲の方々へ
診療日:水曜日担当医師:清水 研
担当心理士:大岡 正子
遺族ケア外来について
大切な人を亡くされたあとのこころの苦しみ(悲嘆)は自然な反応ではありますが、苦しみの強さが強い場合は通常の日常生活が困難になることも少なくはありませんし、その苦しみが長期にわたって続くこともあります。このような場合、きちんとケアを受けて苦しみを癒すことで、大切な人との思い出はきちんと胸に留めながら、前を向いて生きていこうという気持ちになれます。
当院では遺族ケアに精通している担当者が、質の高いケアを提供します。新たな一歩を踏み出すために、ぜひ当院にいらっしゃってください。
悲嘆(Grief)、複雑性悲嘆(Complicated Grief)とは
大切な人を亡くされたあとに、つらく悲しい気持ちがしばらく続くことが、多くの方に見られます。このような苦しいこころの状態や反応を「悲嘆(グリーフ)」といい、本来悲嘆は大切な人を喪失したことに対する自然な反応です。
悲嘆はこころやからだ、行動などに変化をもたらします。深い悲しみや痛み、寂しさや不安、時にはやり場のない怒りとなって表れることもあります。眠れない、動悸がするといった体調の変化を感じたり、物事に集中できなくなったり、家に閉じこもりがちで外に出られなくなる場合もあります。
大切な人が亡くなったことに対して、なぜ助けられなかったのだろう、もっとできることがあったのではといった強い自責の念や罪悪感を持ったりすることもあります。
悲嘆は時間とともに変化していくといわれています。時間が経つにつれ徐々にその方を思いながら悲しみとともに生きることができるようになっていきます。
ところが、時に嘆き悲しむ気持ちが長い期間、激しく続くことがあります。数年間以上たっても亡くなった人のことが頭を離れない、落ち込んだ気分が続き、亡くなった事実を受け入れられないといった状態が続いてしまい、専門的な支援が必要になることがあります。このような状態を臨床心理学・精神医学の分野では「複雑性悲嘆(Complicated Grief)」と呼んでいます。
こんな方に
大切な人を亡くされたあと…
- 悲しい気持ちや不安、落ち込んだ気持ちが続いている方
- 眠れない、食欲がないなど体調の不調が続いている方
- いつも亡くなった人のことが頭から離れない状態が続いている方
- 自分を責める気持ちや罪悪感を強く感じ続けている方
- つらい気持ちを聞いてもらいたいけれど、どこに行けばよいのかわからないという方
当院での治療
当院では、大切な人を亡くされて(複雑性)悲嘆状態の方に対して、薬物療法だけでなく、心理士のカウンセリングを受けていただいたり、デイケアでヨーガ、マインドフルネスなどのプログラムに参加していたくこともできます。お一人おひとりの状態に合わせて治療を行うことで、悲嘆の苦痛を和らげ、大切な人のいない生活に適応していっていただくことを目標としています。
ごあいさつ
がん患者様とご家族の診療に長年取り組んできた経験を活かし、当院では一般外来と遺族ケア外来を担当しています。宜しくお願いいたします。
略歴
金沢大学医学部卒業
国立精神神経センター武蔵病院勤務
国立がん研究センター中央病院勤務
がん研有明病院腫瘍精神科勤務
所属学会・資格
- 医師・医学博士
- 精神保健指定医
- 日本精神神経学会精神科専門医
- 日本総合病院精神医学会リエゾン専門医
- 日本サイコオンコロジー学会 登録精神腫瘍医