心療内科・精神科 | 柏駅前なかやまメンタルクリニック|高次脳機能障害にはどんな症状がある?

高次脳機能障害にはどんな症状がある?どんな対応をすれば?
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高次脳機能障害にはどんな症状がある?どんな対応をすれば?

最も多く見られる症状は「何をするにも遅い」「すぐ疲れる」「一度にたくさんのことが出来ない」

高次脳機能障害で最も多いのは、「全般的情報処理の障害」です。これは、脳が情報を処理できる容量が減った状態のことを指します。「全体的に頭が働ける量やスピードが落ちている」状態です。そのために、記憶力や注意力や行動力・判断力などの考える力(≒遂行機能)やストレスに耐える力、言語機能など、どの頭の働きに関しても全部、こなせる量や速度が落ちてしまいます。記憶力を例にすれば、覚えられる量が少ない、新しいことを覚えるのに時間がかかるなど、量とスピードに関連した能力が落ちます(全く何も覚えられなくなることはまず起きません)。よって、高次脳機能障害の患者さんに共通して最も多く見られる症状は、「一度にたくさんのことが出来ない・何をするにも遅い」などです。


まんがは、粳間剛解説論文6)より改定転載
*論文資料6). コメディカルのための邪道な脳画像診断養成講座
第五回「脳血管障害①(梗塞編)」より
「【月刊】地域リハビリテーション」.2015年10巻5号参照

*記憶障害が高次脳機能障害の代表とされますが、記憶障害は英語で”memory disturbance(メモリーディスターバンス)”と言います。パソコンやスマートフォン(携帯電話)で言うところの、「メモリー(=)容量の問題」と解釈した方が、高次脳機能障害の実態をよく捉えた理解になります。パソコンやスマホのメモリー(=容量)が少なくなってしまうと記憶(記録)できる量が減りますし、処理にかかる時間も遅くなります(≒一度にたくさんのことが出来ない・何をするにも遅い)。そこで無理にたくさんの作業をさせようとしたり、早く作業させようとすると、どんどん遅くなる・止まる(フリーズ)・予期しない動作(勝手にソフトを閉じたり)が出る、などが起きます。高次脳機能障害の患者さんに対しても、無理にたくさんのことをさせようとしたり、早くやらせようとすると、余計にどんどん遅くなったり、動作が止まってしまうことはよく見られます。場合によっては、突然怒り出して反抗することも…。周りから見れば、「すぐ疲れてしまう」「やる気がない」「怒りっぽい」などのように見えます。このような、脳の容量が超えた時に見られる反応は「破局反応」と呼ばれる症状です。

*上記にあげたような症状があると、結果として、行政的な高次脳機能障害診断基準における代表的な障害(記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害)に、「全て」あてはまるようになります。この代表的な4つの障害のどれかひとつが単独で起きることは、高次脳機能障害ではまずありえません。新しいことを覚えられない・物忘れをする・集中力が低い・不注意・疲れやすい・判断力や決断力が低い・手際が悪い・ストレスに弱い・やる気がない(ように見える)・怒りっぽい…などの症状が、セットで、同時に見られます。

どうすれば高次脳機能障害になってしまった頭を上手く使えるようになるのか?

共通した対応:「何事も少しずつゆっくりとやる」「良く休む」

上記のような状態が脳に起きているとわかれば、正しい対応(=上手な頭の使い方)もおのずと理解できます。基本は、何事も、「少しずつゆっくりとやる」です。それでも、頭を使える限界を超えてしまった場合は「休む」ことが重要です。多くの、古くなったパソコン・スマホ(携帯電話)はメモリー(容量)が減っています。これらの機械をうまく使うことをイメージしてみて下さい。少しずつゆっくりと操作すればちゃんと動くことが多いとわかると思います。それでも不具合が生じる場合は一旦休ませる(=一旦電源を切る)ことが大切なこともわかると思います。このようにして、脳の負担を減らすことが、頭を上手く使うコツです。

高次脳機能障害の改善のためには「治療的環境」を作ることが最も重要。

「生活のレベルを、頭の働きのレベルに合わせる」

高次脳機能の改善のためにも、脳の負担を減らすことが最も重要になります。無理をしても傷ついた脳はよくなりません。頭を使えば使うほどよくなると言うこともありません。脳の負担を減らすためには、頭の働きのレベルに合った生活環境で過すことが大切になります。そうすることで高次脳機能は少しずつ回復して行きます(このような、患者さんをよくすることが出来る生活環境を「治療的環境」と言います)。
患者さんの頭の働きのレベルに合わせた、負担の無い生活環境を作るためには周囲の協力が重要です。「すぐ疲れてしまう」「やる気がない」「怒りっぽい」などの症状(破局反応)は、脳への負担が大きいことによって出る症状ですから、こういった症状が出ないように、患者さんの負担を減らすように配慮することが大切になります。よい治療的環境ですごされている患者さんは、例え重い高次脳機能障害をもっていたとしても、「怒りっぽい」などの、破局反応を起こしません。
治療的環境を作るためには、まずは、このような破局反応が起こらなくなるまでを目安に、全面的に周囲がサポートすることが重要です。その後、少しずつサポートの量・頻度を減らしていくことで、患者さんが自分で出来る・こなせることが増えて行きます(頭の働きのレベルが改善して行きます)。例えば、リハビリテーション病院に入院して全面的にサポートを受けていないと、すぐ怒ってしまうなどの破局反応が起きてしまうのであれば、無理に退院せずに入院しているほうがよい治療的環境になります。ご自宅では問題なく過ごせるけれども、仕事にいくと、ついていけずに休みがちになってしまうなどの問題があれば、無理に就労せずに自宅療養されているほうがよい治療的環境になります。同様に、半日の仕事であれば無理なくこなせるけれども、終日勤務はついていけず休みがちになってしまうのであれば、終日勤務を避けて半日だけ就労するのがよい治療的環境になります。これが、頭の働きのレベルにあった生活環境ですごすと言うことであり、こうすることで、少しずつ高次脳機能は改善します。その時その時の高次脳機能のレベルに合わせて、段階的に生活のステージを進めて行くことは、治療そのものであり、同時に、社会復帰のステージをすすめることにもつながります。

*論文資料7). 粳間剛ほか.高次脳機能障害とその症状に対する「治療的環境」綜合臨牀59: 2141-2142.2010

治療的環境を作るためのサポート

すべてのサポートをご家族で行うことには無理があります。一方で、障害者自立支援制度などの社会資源を利用することでご家族の負担を減らすことが出来ます。このような社会資源を利用するためにはまず、「高次脳機能障害であると診断されることが必要」です。

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